英語では、贈り物や授かり物・天性の才能、のほか、実に簡単なこと、という意味もあるGift。贈り物=実に簡単なこと。この時の贈り物とは、「感謝の気持ちや愛」。「感謝の気持ちや愛」を伝えることは、「実に簡単なこと」。いつでも思った時に伝えること、というのが私の解釈です。
そして現代のドイツ語の綴りでは、「毒」
ゲルマン語が派生していく中で、「与えられる悪いもの・毒を盛る」という意味に推移し、ドイツ語では「贈り物」でなく、「毒」の意味がほとんどだそう。「感謝の気持ちや愛」は扱い方を間違えると、時として「狂気」に変わる、という捉え方もできますね。
ものには二面性があって、異なる国や言語で伝わる、言葉や文化の持つ意味に奥深さを感じます。
今回は【モノ】だけじゃない、そのモノの背景に焦点をあてて、その人にしかない特別なGiftのストーリーを聞かせて頂きました。
古き良きものを大切に
Jonnlynx 林真理子さん
●家族から受け継いだもの
・両親から受け継いだ骨董品
いい時代に集められた骨董品です。中国家具の食器棚、沖縄のタンス。ローズウッドの上質ないい木を使ったものです。食器やお茶の道具は、小さい時から見て育っているので、器や茶器を集めたくなったり、お茶に興味が湧くのでしょうね。
●家族から教えてもらった精神的なこと
・クリエーションの源になっている反骨精神
これは父親が他界した時に、強く実感しました。
●お子さんに贈りたいもの・残しておきたいもの
・継承している家具
ものの大切さを知って欲しいし、そのものに価値があると思えばずっと使って欲しい。
・クリスマスツリー
子供が産まれた時に、会社のみんなからお祝いで戴いたクリスマスツリー。グラスオーナメントも毎年買い足していて、その年の息子を象徴とするモチーフのものを選んでいます。
●お子さんに伝えておきたいこと
・夢中になれるものを見つけて欲しい。夢中になれることは努力をも越えてしまうので。
・挫折を恐れないこと。そこから学ぶことを感じて欲しい。
●ホームパーティの定番
・漆塗りのセット
50年も前の漆塗りのセット、これは大事にしています。ここ数年、大晦日と元旦は、家族や仲間と集まるのが恒例になっています。お雑煮と筋子、数の子、シンプルに装るだけで、とても立派になるので、お料理に器は本当に大切です。
辻堂でヘアサロンを営むヘアドレッサー兼オーナー(現在育児休暇中)
Lumoa 濱香織さん
●家族から受け継いだもの
祖母の着物
着付けの先生をやっていた祖母から、何枚か着物を受け継ぎました。実家に保管し、特別な日に着ています。
●お子さんに贈りたいもの・残しておきたいもの
jun mikamiさんの1点ものの手編みニットと靴下
いつ見ても美しい手編みのニットと靴下は、成長して袖が通らなくなっても、手元にとっておきたい。
●お子さんに伝えておきたいこと
・ 1つの事を最後までやりきる
・目標を持って毎日を大切に生きて欲しい
●ホームパーティの定番
・おもてなしされて嬉しかったのはニース風サラダとグラタンなどのお料理
博多レディースセレクトショップオーナー
DRESDEN the mallow 江良靖子さん
●家族から受け継いだもの
・出汁
海産物問屋を営んでいたのもあり、祖母から母、そして私に…
朝のお味噌汁は昆布といりこ。博多雑煮は焼きあごと干し椎茸の戻し汁、昆布。
私が健康なのも、幼い頃からの食のおかげです。
●お子さんに伝えておきたいこと
・たくさんの人に助けられてあなたは今此処にいる、ということ。
・いつか娘に読んで欲しい茨木のり子の本
●DRESDEN the mallowの由来であるドイツ・ドレスデン
・ドレスデンは新旧が融合してる芸術の街でとても素敵な場所です。新婚旅行で訪れました。お腹の中には7ヶ月の子供がいたんで、家族旅行ですかね。
●おすすめのギフト
・Nymphsの18Kジュエリー
少しずつ集めています。クリスマスギフトにおすすめです。
スペインにルーツを持つ
DOMENICO+SAVIO 今村晴美さん
●家族から受け継いだもの
母が作った陶器の食器・ティーセット
陶芸好きの母が作ったもの。いびつな形に温もりを感じて気に入っています。
●お子さんに贈りたいもの・残しておきたいもの
クリスマスツリーのオーナメント
職人達の熟練した技で1点1点作られたInge-glas社のガラスの工芸品、毎年少しずつ増やして大切に保存し、娘に残したい。
赤ちゃんの頃に着たセレモニードレス
ニット仕立てのところが気に入っているセレモニードレス。長女である私の後には、妹が着て、さらに姪っ子2人もこれを着ました。母が大切に取っておいてくれて、娘を出産後、退院の際の晴れ着として着せられて胸がいっぱいでした!娘の将来はわからないけど大切に取っておいて、その時が来たら贈りたい。
●お子さんに伝えておきたいこと
『どんな時も前向きでいる、自分に自信を持つ』という、両親から受け継いだケセラセラな精神や、家族&友人が一番の宝だと言う事は、どれも生き抜く力に変わるのでしっかりと伝えていきたい。
●ホームパーティの定番
パエリア
お祝いやイベント時に定番だった母のパエリア。母の味をレシピを見ないでやっと作れるようになってきました笑。
娘にもルーツであるこの味を引き継ぎたい。
●ブランド今シーズン、アートについて
今季はアメリカ現代アートの画家・MARK ROTHKO(マーク・ロスコ)の絵画がインスピレーション源になっています。
絶妙な色の響き合いや、人の感情を表現したとされる抽象画の数々は、コロナ禍で経験のない日々を過ごした自分の感情に響き、重なり、今回のコレクションに投影しています。
●ルーツであるスペイン
スペインは地域によって文化や歴史が色濃く違うところが面白いのですが、個人的なオススメは、ガウディ建築が多く点在するアートの街・バルセロナ、イスラム文化が色濃く残る・アンダルシア地方のグラナダ、スペインいち美しい村・フリヒリアナ。
共通して言えるのは、どの地域も食べ物は間違い無い!パエリア、タパス、生ハムなどなど日本でも十分有名かと思いますが、本当に美味しいです。食とアートを巡る旅、是非おすすめです!