2021-09-16

My Ground : whole / Yoshiko Tsunakawa

2017年、富ヶ谷にあるワインバー・カルムでの、週末だけの花屋から始まり、2019年代々木上原にて、ヘアサロンとフラワーショップが併設する店舗を、旦那様と一緒に新しくオープンさせたwholeの綱川禎子さん。 

綱川さんとは数年前に、VMDという店舗のディスプレイの仕事を共にさせて頂き、その頃からディスプレイセンスも抜群で勉強になり、色遣いも新鮮。そんなアパレル出身という経歴もフローリストとしてのお仕事に生かされている様です。 

ワインバーでの開店当時、お店の色を「まだよく分からない。」と答えていたのが印象的で、今現在、フローリストとしてのキャリアも積み、オーナーとしても日々奮闘する彼女に、いくつか質問をしました。 

My Ground : whole

wholeとしてのカラーや強みは何ですか。 

「始めた当初から、ファッションと同じ感覚で、シックな気分、シンプルでいたり、時にはポップでいたかったり、そんな風にその時々に感じた気分を大切に表現しています。その中で今少しずつ見えてきたwholeらしさを表すとしたら、『色遊び』だと感じています。果てしなくあるお花の品種、色もまた様々で、新鮮に感じる色合わせを、日々追求して大切にしています。」 

2019年にオープンした、サロンと花屋の併設した店舗。長年、思い描いていた空間を実現されて、いかがですか。

「それぞれの個性を引き出すというところでは、花と美容って凄く近いところにあるのでは、と気が付きました。あと、当たり前のように生花が並んでいる美容室って、凄く贅沢だな、とふと感じます笑。」 

ご自身の店舗ができてから、旦那様はもちろん、一緒に働く従業員も増えましたよね。一人で始めたフラワーショップから、現在、仲間と一緒に働くことに対してのお気持ちはいかがですか。 

「やっぱり仲間がいることっていいですね!一人の時は常に自問自答していましたけど、他の人の意見を聞けることってすごく勉強になるんです。ハードなスケジュールで心折れそうな時も仲間がいるだけで、純粋に心強いです。大きなお仕事を達成出来た時の喜びを共有できるのは嬉しいですね。人生の中での大切な時を共に過ごしていることを忘れずに、居心地の良いチームでいられるよう、そして、お花を心から好きで、楽しんでやることを一番大切にしています。」

ヘアサロンスタッフとして在籍しながら、現在ロンドンで活躍されている池田奈穂さんについてお聞きします。最近は、日本のサロンに席を置きつつ、海外で働く美容師さんが増えてきましたよね。素敵な働き方と、とても理解ある職場ですね。 

「奈穂ちゃんは、店舗を始める時に私が声を掛けさせてもらったんです。まだ場所も決まっていない夢語り状態の中で、『一緒にやりたい!』と言ってくれたのが本当に嬉しくて。声を掛ける前からずっと応募し続けていたワーキングホリデーのロンドン行きが、ついに決まったので、一緒に作り上げていく仲間の挑戦は応援したかったんです。なので、みんなで迷いなく送り出しました!またこの秋から、一緒に働けるのが今からとても楽しみです!」 

ネイルのカラー監修や花器、カード、キャンドルなど、精力的に素敵なオリジナル商品やコラボアイテムを作られていますが、お花以外のものを提案することは、ずっと前から考えていたのでしょうか。 

「最初は考えていなかったです。日々過ごしていく中で、素敵な方々に出会えたのがきっかけです。勿論、花屋なのでお花がベースですが、wholeの由来でもある”お花を取り囲む全体”というところで今後もプロダクトやセレクトにも力を入れていきたいと思っています。」 

店を構えた代々木はどんな街ですか。お気に入りの場所があったら教えてください。

「お店は、代々木上原と代々木八幡のちょうど間に位置するのですが、この辺りはローカルでゆっくりしているんですけど、表参道や渋谷にもすぐ行けるハイテクな場所でもあって、そんなところも性に合っていて、魅力的な街だと思います。お店のすぐ近くにある『押競満寿』という台湾朝食屋さん!そこのルーロー飯は絶品です。」 
 

カルチャーという枠で、これは欠かせないというものはありますか。 

「花器ですね。これもファッションと同じで、花との組み合わせでガラッと印象が変わるのが楽しいです。その時代特有のデザインがあって面白いんです。 

あとは、映画。お勧めは『マイビューティフルガーデン』です。お花の映画ってなかなか多くないんですよね。これは内容も映像も綺麗でお勧めです!」 

仕入れで朝が早かったり、冬は暖房もなく寒い中での営業。そんな大変な環境で、ご自身の大事な時間を教えてください。 

「市場の日は、3時半には起きます。やっとこの生活にも慣れました笑。常に緊張感のある仕事だと思うので、なるべく家での時間はゆっくり過ごしています。特に、お風呂に浸かる時間を長くとるようにしています。」 

確か、富ヶ谷での頃は、まだ免許がなくて、出勤前の旦那さんが車で早朝に市場に連れて行ってくれてましたよね。 

「車の免許はお店を始める2ヶ月前に教習所に行き始めました笑。最初の頃は仕入れもと同じくらい、運転にも緊張していましたね笑。」 

2020年。今までに経験したことのない、予想もしていなかったパンデミック。緊急事態宣言による営業自粛。誰もが本当に大変な一年でした。 

「最初は、まさかこんなに長期に続いてしまうと思っていなかったので、とりあえずお店を守る為に勇気を出して休業した時期もありました。その時は、この後どうしていくのが良いのか、何が出来るのかひたすら考えました。考えた末、私が出来ることは花を束ねることしか浮かびませんでした。 」

その中で、お店を守って行くために、どんなことを発信していたのですか。

「大切な人と今までのように簡単に会うことが出来ない今、お花の需要が高くなり、配送ギフトが予想外に増える時期もありました。新しい試みとしては、自宅用のお花の強化でした。花のある生活、というワードを聞くようになり、コロナをきっかけに自宅でお花を愉しむ方が増えました。季節の花のアソートセット、色縛りのセットなど、その時々の気分でチェンジしていきました。」 

この状況が落ち着いたら、まず何をしたいですか。 

「先ずは何も気にせず飲みに行きたいです笑。あと、離れて暮らしている家族や友人にも会いに行きたいです。花瓶などの買い付けにヨーロッパにも行きたいです!行きたいこと、やりたいこと沢山あります笑。」 
 

最初にお店を構えた富ヶ谷、そして代々木での開店。何か始めることは不安と隣り合わせですけど、 新たに一歩、歩き始めるとき、どんな思いでしたか。 

「富ヶ谷のバーで間借りをさせてもらっていた時は、初めてのことばかりだったので、今思い返すと最初があの形で良かったと思っています。バーのマスターは、昔からお世話になっていた方だったので、一人だけれど心細くならずにいれました。カルムでやらせてもらったことが、今と繋がっているので、本当に感謝しきれません。」 

「今の実店舗が出来た時は、夫と思い描いてきた2つのお店が、ようやく形となったので、苦はなかったです。wholeを始めた頃も、店舗が出来た頃のどちらも、良い意味でも悪い意味でも、後先のことはあまり考えず、とりあえずやる!という感じで、珍しくポジティブだったと思います笑。」  

whole / AWRY BY THE MANNER

Comment Text & Photo : Yoshiko Tsunakawa
Text & Edit : Sonoka Takahashi

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