リトルモアから出版された内田也哉子さんの書き下ろしです。トレーシングペーパーにプリントされたイラストと、内田さんの独特な表現。とても繊細なので1ページ毎、大事に破れないように読み進めていきます。
この本が発売された時期は、リトルモアが流行ってたんです。吉祥寺ビレッジバンガードや渋谷パルコの地下の書店。だいたいおしゃれだな、と手に取る本は、こちらの出版社で、ちょうどヒロミックスや清川あさみ、蜷川実花、野田凪など、女性アーティストやアートディレクターが話題になっていた頃でした。
当時は薄い紙のページに重なって写るおしゃれなイラストばかり目で追っていたのですが、大人になった今だからこそ、内田也哉子さんの文章がすんなり入ってきます。物語というよりは、詩です。ずっと大切に持っていたい1冊です。
誰よりも自分が心躍るファッションを大事にして、周りにどう言われようと自分を貫くジャスミン。
それが瞬く間に周りに流行り出すと、みんなと一緒は嫌だと、やめてしまう、あまのじゃく。
「その髪色、その服、すごいね。」
よーく言われました。列からはみ出していると白い目で見られたり、みんな同じじゃなくちゃいけないっていう暗黙のルール。そんな経験は誰しもあるかもしれません。
大人なので、TPOはものすごく大事。だけど、人の目よりも、流行よりも、あの子が持っているモノよりも、自分が身につけていて心地良いもの、自分らしさをきちんと選択出来ることも大事。
読み進めているうちに、そんなジャスミンをものすごく応援してしまいます。
何でも持っている友人におくりものをしたい、喜んで貰おうと、おくりものを探しに出かけて行きます。当たり前にある日常を大切に感じられる、物質ではなく、モノに満たされない生き方を改めて考えさせる1冊。これは多くを語らなくても読んだら分かります。翻訳は、谷川俊太郎さんです。
英題は『Rotten Ralph』で、【あくたれ】がいい表現だなーと調べたら、”Rotten”って結構不快感のある意味の言葉ですね。それを、いたずら でも いじわる でもなくて【あくたれ】と訳したのがいい。
仲良くいたいから あくたれる、かまってほしいから あくたれる
独断なタッチで描かれたラルフ。主人公なのに曲者が登場する作品が好きです。最後もクスッとさせてくれて、期待を裏切らないラルフに、なんだかハマってしまう。他のシリーズも読みたくなります。ペットを飼っている方、子育て中の方にも共感することがきっとあると思います。
子供の頃に読んだ方も多いかと思います。あの『ふたりはともだち』シリーズの親友・がまくんとかえるくん。全20冊の中の50の言葉を集めた片手に乗せられるくらい小さな本。
英語と日本語で書かれています。1ページ毎のセンテンスが短いので、自分ならどうやって訳すかな、と考えながら読み進めるのも楽しみの一つ。
辛い時、悲しい時、いつでもこんな親友が側にいてくれることが羨ましく思います。
エドワード・ゴーリーは、まだ全ての作品を読んだことがないので、もっとこれから知識を深めたい作家です。パティ・スミスやボブ・ディランとも縁のある柴田元幸さんが翻訳を担当しています。
この作品は、1960年代に実際にイギリスで起きた『ムーアズ殺人事件』を元に描かれています。映画や小説など、基本救いようのないダークな内容の作品を好むのですが、幼い頃の記憶から「絵本は心温まるもの」というのが頭にあって、1冊買ったきりで、そのままにしていました。エドワード・ゴーリーも、この事件に胸を痛め、この絵本を書くには葛藤があったようです。実話をもとにした映画や小説はたくさんありますが、絵本というのはなかなかないですよね。
そして、ダークな作風に反して、作者エドワード・ゴーリー自身は、猫が大好きなので、作品の中では猫はひどい目に遭わせない、といった内容の記事を読んだことがあります。光と闇のような、人間には必ず持ち合わせている二面性を知って、もっと彼の作品を読んでみたいと思っています。
Ogdred WearyというEdward Goreyのアナグラムを使って、いくつかの作品も出しています。そういう遊び心も好きです。エドワード・ゴーリーの世界、教えて欲しいです。
名作中の名作ですね。私が語ることが烏滸がましいくらいの。人生の節目に必ず手に取って、何度も読みました。面白いのは、読む時期や心情、年齢によって好きな章や頭にすらすら入ってくるパートが違うところ。
最近、この中の有名なセリフを、あるアーティストが楽曲の歌詞で引用していたので、世代や国籍問わず、永遠に愛されているんだな、と実感したところでした。
個人的には、新潮文庫から出ている河野万理子さんの翻訳が一番読みやすいと思います。