昨年、世界中で多くの人が在宅ワークに切り替わり、日本でもその働き方については、大きな変化があった年でした。
wholeに併設するヘアサロン・AWRY BY THE MANNER のスタイリストである池田奈穂さん。
ヘアサロンに席を置きながら、2019年に渡英。新しい働き方をされているその背景や、ロンドンの街、ヘアメイクの現場での様子を伺います。写真からも、とても空気が澄んでいて、気持ち良さそうな、生き生きした様子が見られます。
この秋、そのワーキングホリデーも終了し、10月中旬の帰国を控えたタイミングでお話しを聞くことが出来ました。
My Ground : London
ロンドンへ行くと決めたきっかけを教えてください。その時すでに語学は堪能でしたか?
「初めて働いたサロンのオーナーが、昔、ロンドンで働いていた人だったので、その方の影響です。 語学は全く堪能ではなく、恥ずかしながら、今でもやっと少し会話ができるようになったくらいなので、日本に帰っても、英語の勉強を続ける予定です。」
日本のサロンに席を置きながらも、海外に挑戦される美容師の方も増えている印象です。本当に素敵な働き方だと思います。綱川さんにもその時のことを伺いましたが、素敵な環境ですね。
「そうですね。今のサロンは、2年ほど前にオープンしたのですが、そのサロンができる前からずっと、ロンドンのワーキングホリデーに応募し続けていました。なので、サロンに所属してからワーキングホリデーに当たったら行きたい、ということを伝えていたので、前向きに送り出してくれました。」
ロンドンでは、フリーランスで活動されているのでしょうか。ロンドンでの働き方で、日本と違う点があれば教えてください。
「最初はロンドンのサロンでも働きましたが、ロンドンでは撮影を頑張りたかったので、今はサロンでは働かず、現地のメイクアップアーティストのアシスタントとして現場に行っています。日本でヘアメイクのアシスタントについたことがないので、分からないのですが、こっちでは上下関係などがあまりないです。フラットな関係が築けるのかなと思います。」
去年は想像もしなかった、パンデミック。その中で異国で過ごすことは、とても大変だったと思います。日本でもロンドンの様子は報道されていましたが、実際ロンドンの状況はいかがでしたか?
「去年の3月にちょうど仕事で日本に一時帰国するタイミングがあり、一番最初のロックダウンの時は日本にいたので、私も詳しい情報は分からないのですが、日本で報道されていたように本当に厳しかったみたいです。 去年の10月の2回目のロックダウンは、1回目の時に比べるとそんなに厳しくもなく、天気もまだ良かったので、のんびりと過ごせました。飲食店もイートインはしていなかったので、テイクアウトして公園でゆっくりすることが多かったです。」
「また趣味の編み物も再開しました。 東京にいた時は、こんなに自分の時間や趣味の時間はなく、仕事ばかりしていたので、いかに自分の時間が大切か、新しいライフスタイルの在り方、これから日本へ戻った時の働き方のバランスなどを考える良いきっかけになり、自分にとっては、とても良い時間になりました。」
日本でも、特に東京はまだ厳しい状況が続いていますが、今のロンドンはどんな様子ですか?
「今は全ての規制も解除されて、ワクチンの接種も進んでいるので、普通の日常に戻りつつありますが、 テイクアウトのみになってしまったお店が増えたり、美術館なども必ず予約しないと入れなくなったり、と変わった点は色々とあります。」
音楽やアートが身近なロンドン。私自身も、ロンドンの音楽や文学などのカルチャーに強く憧れていました。池田さんからみて、ロンドンはどんな街ですか。
「ロンドンは、本当に音楽やアートが身近にある街だと思います。こっちで出会った人のほとんどは、年齢関係なく、大学や専門的な学校、オンラインのコースなどを受講していて、いろいろなことを勉強し、物知りな方が多かった気がします。 また、ロンドンはフラットシェアが一般的なので、友達のフラットメイトが音楽を作っていたり、 アーティストをしていたり、そういう人たちと出会う機会が多かったです。」
実際ロンドンに住んでみて、ご自身の中で変化したことはありますか?
「ご飯を作るのが好きになりました。ロンドンに住む前というかコロナの前までは忙しくてご飯を作る暇もなかったのですが、最近はちゃんと作るようになりました。 イギリスはご飯がまずい、というイメージが強いと思いますが、最近は美味しいカフェやレストランがいっぱいあるので、そういうところに行った時に、『これは何の味付けだろう?何のスパイスが入っているんだろう?』など考えながら食べるのが好きになりました。」
以前は、ヨーロッパのいくつかの国へも旅行されていましたよね。イギリスからだとアクセスしやすいヨーロッパ旅行。旅が好きな方にはとてもいいですよね。
「コペンハーゲンは本当に良かったです。ご飯も美味しいし、街も小さいのでレンタルバイクですぐ周れます。 コペンハーゲンは去年の冬と夏、2回行きました。2月はとても寒いし、天気も良くなかったのですが、コペンハーゲンにある美術館をほとんど周れたので、良い旅でした。夏は2週間ほど滞在したのですが、毎日天気が良く、夜もサマータイムで日が暮れるのが遅いので、毎日朝から夜まで楽しみました。」
「デンマークでは、夏にサマーハウスという、日本でいう別荘みたいなところでほとんどの人がゆったり のんびり過ごします。サマーハウスで大切なことは、”何もしないこと”だそうです。
去年は私も友人に同行させてもらい、コペンハーゲンから北に上がった海辺にあるサマーハウスで、本当に何もせず、のんびりと過ごしました。社会人になってから、こんなにも何もしない時間がなかったので、とても幸せなひとときを過ごしました。
東京にいた頃は仕事はもちろん楽しかったし、働いていないと不安みたいな気持ちがあったのですが、思い切って休んでみるということも大切なんだなと思いました。デンマークの幸福度が高いのも納得しました。」
日本に帰ってくると日本の良さをどう感じますか。
「ロンドンも好きですが、日本は本当に最高だと思います。もちろん、日本もロンドンみたいに、もっとこうなれば良いな、と思うことはいっぱいあります。ロンドンにはロンドンの、日本には日本の良さがそれぞれあっていいと思います。」
帰国を楽しみに待っているお客様も多いかと思います。
「10月中旬帰国なので、サロンに立つのは、2週間の自主隔離後、本格的に始動するのは11月頃かなと思っています。」
日本に帰ってきたら、まず何をしたいですか。
「美味しい日本食を食べて温泉に入りたいです。ありきたりですみません。あとは、自分の中の働き方改革をしていきたいと思っています。 それから引き続き英語の勉強はしないとなと思っています。」