初回は、今年の7月にオープンしたヴィンテージショップ・ECHORDのオーナー、バイヤーの與賀田真理央さん。
出会った頃は、当時10代で、髪型や服のスタイリングや佇まいから、音楽の匂いがぷんぷんとしていて、その音楽は自分とすごく近しいような、そんな雰囲気を醸し出していました。会話をする中で、何気なくぽつりと口にしたアーティストの名前を聞いて、やっぱり、と確信しました。
今回は、そんな音楽にまつわるお話をじっくり聞かせてもらいました。
子供の頃初めて自分のお小遣いで買ったCDはジュディマリ。
高校生の頃は、ブルーハーツや銀杏BOYZ等のジャパニーズロックを聴き、10代では、シュガーベイブやはっぴいえんどのシティポップ、ピチカートファイブやフリッパーズギター、コーネリアス等の渋谷系が好きでした。
くるりも大好きで、一生聴くと思います。ベタですが、やはりくるりと言えばこちら。一生聴ける名曲。AXでのライブで聴いた生東京は涙が出ました。
洋楽を好きになったきっかけ
それまで洋楽は一切聴いたことがなく、好きになったきっかけはoasisでした。 とにかく私の青春なんです。
TSUTAYAでたまたまブリットポップの特設をやっていて、ふと手にしたのがoasisの3rd Album『(What’s the Story)Morning Glory?』なんの知識も迷いもなく、直感でレンタルしたのが出会いでした。
ポップなサウンドにパンクな精神が、当時の私の心を鷲掴みにしたようです。 これをきっかけに洋楽にズブズブとハマっていきました。
好きなアルバム
この3枚は、当時CDウォークマンでリアルに擦り減るほど聴きました。好きになった当初のものってもう聴き込み方が違いますよね。次の曲のイントロも余裕で歌えますよね。(当時はシャッフルなんて概念はなかったので。)
oasis『(What’s the Story)Morning Glory?』
このアルバムは言わずと知れた名盤です。まさに捨て曲無しとはこのこと。中でも『Champagne Supernova』はもう何度聴いたことか。
Nirvana 『MTV Unplugged New York』
Nirvanaも私の人生には欠かせないバンドの一つ。 ああ、もう、先に言いますが長くなりそうです。
このアンプラグドは、カートが自ら命を絶ってしまう少し前に行われたライブを収録したもので、初めてDVDを観た時は、瞬きをするのが惜しいほど食い入る様に観ました。 ロウソクとユリの花に囲まれた中で、カートは何を思いながら歌っていたんだろう、と考察を巡らせ、心がギュッとなりながら、何度も何度も観ました。
ラストに、ブルースシンガーであるレッド・ベリーの『Where did you sleep last night』をカバーをしているんですが、これを観るだけでも価値有り、だと思います。 そして、全ての演奏の後に、タバコに火をつけながらはけていくカートに震えました。 好きなアルバムとしてあげましたが、映像で観るべきです、これは。
oasisのノエル・ギャラガーもですが、 カートもギターと声だけで全てを表現する人だと思います。 このアコースティックの演奏はそれが良くわかります。 考えてみたら、カートもポップなメロディとパンクの思想ですね。 Nirvanaというか、カートコバーンも永遠に好きなアーティストで、ついつい熱が入ってしまいます。 ですので、このへんで終わりにしておきます。
King Crimson 『Red』
プログレが好き、というよりかはクリムゾンが好きなんですよね。 代表格と言われるプログレバンドはだいたい聞きましたが擦り切れるほど聴いたのはこの『Red』でした。
クリムゾンはこのアルバムリリースの後に1度解散してるんです。 その気迫と緊張感が満ち満ちに詰まっている中で、憂いを帯びたジョン・ウェットンのボーカルは素晴らしいの一言。 5曲しかないこのアルバムをじっくりと聴けば、映画を見終わったような小説を読んだかのようなそんな気持ちになるんです。
初めて行ったライブ
いつが初めてだったか覚えてないので、印象的だった1番古い記憶で言うと、毎年ジョンの命日がある12月に行われる、2001年のさいたまスーパーアリーナ、初めてのジョンレノンスーパーライブ。
当時テロの関係で、オノヨーコが来日出来ず、中継での出演だったけど、それでも存在感は凄かった。 ライブの最後にアーティストと観客で合唱したHappy Xmasは感動的でした。
今思い出しましたが、従兄弟がD.T.R.というハードロック色強めのバンドをやっていて(そこそこ有名だったらしい)小学生の頃にわけもわからず、渋谷公会堂へ観に行ったのがリアルに初めてかもしれません。うるさくて死ぬかと思った記憶です。
MY ICON
10代:川村カオリ
アーティストとして、というよりかは女性として憧れました。 強くて優しくて儚くて、たくさん影響を受けましたね。 彼女の自伝はバイブルだったし、彼女のようになりたくて、髪の毛も坊主にしたこともありました。
彼女は癌で髪の毛が抜け落ちてしまったので、きっと色んな思いはあったと思いますし、不謹慎かもしれませんが、カッコ良かったんです。 それを悲観的に発信するのではなくクールに魅せていました。 そんな強さを持った女性に憧れた18.19歳でした。
20代:クリッシー・ハインド、パティ・スミス
この二人の共通するところは、男前だけど下品では無いところ。足をガッと開き、顔を歪ませながら歌っているのになぜか女性らしい。そんな女性に私もなりたかったのです。
80’sサウンドゴリゴリになる前のファーストアルバムが1番好きなんですが、この3rdアルバムのmiddle of the roadはクリッシーのロック姐さん節炸裂で最高です。
初めて聴いたアルバム、初めて聴いた曲、衝撃的でした。themのカバーですが本家よりカッコいいです。
今:今まで影響を受けたアーティスト全て
10代、20代と、3人の女性をピックアップしましたが、影響を受けたアイコンはたくさんいます。 自分のアイデンティティを大事にしながらも、ずっとずっと憧れは続くと思います。
音楽の情報源
昔は毎日、TSUTAYAやレコファンで、とにかくジャケットを穴が開くほど見て、ブックオフでスヌーザーやロッキンオン等の音楽雑誌を買い漁り、ひたすら読んでました。私の教科書でした。
今はYouTubeですぐに出てくるし、無料で見れるコンテンツが沢山あって、本当に便利になりましたね。
音楽を聴く時
若い頃は辛い時も悲しい時も楽しい時も、聴ける時は常に聴いていて、音楽に気持ちを引っ張られることなんて常。
今は気持ちが良い時に聴くようになりました。 家では普段、カセットテープで聴いています。
好きな歌詞やフレーズ
ビートルズのジョン・レノンとポール・マッカートニーのある言葉はタトゥーで刻みました。
音楽にまつわる好きな場所
映画「ロストイントランスレーション」でラストのジーザスアンドメリーチェインが流れる、あの瞬間の新宿。
変化した音楽の志向
若い頃よりも、より日本のアーティストが好きになりました。 日本人だからこそわかる日本語の美しさやニュアンスの表現が、若い頃よりもずっとすんなりと入ってきます。
そして、ここへ来て韓国と日本のアイドルオタクとなりました。 推しは常にチェックしています。
ファッションに影響を受けた人
ヴィヴィアン・ウエストウッド/クリッシー・ハインド/パティ・スミス/ジョー・ストラマー/ブライアン・セッツァー/カート・コバーン/ボビー・ギレスピー/ジョン・フルシアンテ
ECHORD USED&VINTAGE
Buying
アメリカでのバイイングが主ですが、私のカルチャーの根源は、ヨーロッパにあって、それらを織り交ぜて提案出来るのは、やはり聴いてきた音楽や映画のおかげだと思います。言葉で説明するのは難しいですが、確実に自分のバックボーンとなり、生かせています。
Location
お店は代々木上原にあるのですが、10代20代はとにかく色々なカルチャーを持った人で溢れかえる渋谷や原宿が好きでした。30代になった今は静かで、でも閑散としていない、代々木上原の落ち着いた雰囲気が、とても居心地が良いです。