2021-10-20

Cafe Culture

これまでカナダ、オーストラリア、日本でバリスタとして働いてきました。今はカナダに住んでいます。3カ国で暮らして感じた、カナダ、オーストラリア、日本のコーヒー、カフェ文化の違いについてお届けしたいと思います。

まず、私が住んでいるバンクーバーについてお話しします。カナダは日本に比べると、歴史が浅い国。バンクーバーは、長い間イギリスの植民地だったこともあり、ダウンタウンの建築は主に英国調です。そして、アメリカの西海岸と近いこともあり、アメリカとイギリスがミックスしたような街並みになっています。冬は雨が多いのですが、カナダ全土で比べると一年中安定していて、比較的過ごしやすい気候です。

近くに湖や山があってアクティビティーが盛んな場所。車で2時間で国境を超えてアメリカのシアトルへ行くことも出来ます。

バンクーバーは、公共交通機関もしっかりしていて、電車やバスが通っているので、車がなくても生活ができます。カナダのバスは電気で走っていて、黄色い紐を引っ張るとバス停に止まることができ、降りる時は、みんな大きな声で運転手さんに”Thank you!”っといって降りています。これもカナダらしい文化です。

最初にカナダに来た時、バンクーバーのキツラノというエリアのairbnbに1ヶ月滞在しました。

その宿の近くに、いつも朝早くから開いていたベーカリーカフェ。自家焙煎のスペシャルティーコーヒーと地元で仕入れる食材やオーガニックの小麦粉を使った素材にこだわったカフェでした。

朝7時にもかかわらず、ローカルの人達で賑わっています。お客さん同士もオーダー待ちの列に並びながらお喋り。長い列でもお構いなしで、オーダー中に店員さんとお喋り。座りながらコーヒーを飲んでいる時も、たまたま隣りに座った知らない人ともお喋り。

「今日の朝はバスがめちゃくちゃ混んでて大変だった」とか、「今日は今から面接なんだ」とか「週末の予定は何するの」とか、そんな他愛もない話で盛り上がっています。

とにかく、カナダのカフェカルチャーは、ウェルカムでフレンドリーです。

その地域に住んでいる人、働いてる人が、毎日コーヒーや朝食を買って、仕事に行く。人々のモーニングルーティンの中に、カフェが組み込まれているようでした。カフェが、ただの【コーヒーを飲む場所】ではなく、生活に溶け込み、地域のコミュニティのような役割をしている空間。知らない人でも誰とでも気兼ねなく、「今日もいい日を過ごしてね!」とお互いを見送る、人と人の繋がりを感じられる空間でした。

そんな空間が大好きで、コーヒーやパンを買いに頻繁に足を運ぶようになり、最終的にはそこでバリスタとしてのキャリアをスタートしました。

初めてカナダで飲んだコーヒーは、ストロベリーやダークチョコーレートのような風味のする、エチオピアのナチュラルプロセスのコーヒー。本当にびっくりするくらい、挽き立てのコーヒー豆の香りは、ストロベリーそのものでした。日本にいる時、私が日常的に口にしていたのは、スターバックスやコンビニのコーヒー、缶コーヒー。世の中にこんなにフルーティーなコーヒーがあるなんて、衝撃でした。

その時から、このコーヒーがどこから来て、誰が育てたのか、フードシステムについて初めて考えるきっかけになりました。コーヒーを扱うバリスタを職業とする前は、コーヒーが何からでできているかなんて知らず、恥ずかしながらコーヒーはカカオからできていると思っていたくらいです。笑

コーヒーは、コーヒーの木になるコーヒーチェリーからできています。土壌や標高、周りに植えてある木によっても味が変わってきます。

カナダはスペシャルティーコーヒーが主流です。コーヒー農園の農家さんが質にこだわって育てたコーヒーで、きちんとフェアトレードができること、持続性、どこで作っているか追跡ができることが大切にされているコーヒーのことです。Qグレーダーというソムリエのような資格をもった人が、コーヒー協会の豆の品評会で80点以上つけたコーヒーのことをいいます。世界で収穫されるコーヒーのわずか5%程です。コーヒー豆のパッキング、発酵、乾燥、焙煎、パッキング、全て人の手でやっています。

そしてサイズ感。アメリカンサイズと言われるだけに、アメリカ・カナダは、コーヒーのサイズもかなり大きいです。日本はアメリカの影響が大きいので、アメリカ・カナダに近いと思います。同じ原材料ですが、国によって名前もサイズも全く違うのは面白いですよね。

カナダのカフェスタイルは、カウンターでオーダーしてお客さんが取りにくる、日本と同じスタイルです。朝7時〜8時にオープンし、オープン直後には通学・通勤前にコーヒーを買う人が沢山来るので、朝からとても賑わっています。日本では、朝はコンビニへ寄ってから仕事にいく、という方が多いと思いますが、こちらはカフェに行きます。日本のコンビニはすごく便利ですが、海外のコンビニは値段も高い。また、治安の問題もあって、海外では外に自動販売機はありません。ですので、海外の朝のカフェはとても忙しくなります。

そこからコンスタントにお客さんが来て、お昼過ぎに食事と一緒にコーヒーを買いに来る人も多くなり、閉店直後にもまた賑わいます。カナダのカフェは、大体16時頃に閉まるところが多いんです。

そして、カナダでのお仕事探し!カナダでの面接採用の基準は、「人柄とポテンシャル」のように感じます。全くの未経験だと入るのは難しいですが、オーストラリア程、厳しくはありません。(オーストラリアは、とにかく技術!また次回お伝えしたいと思います。)未経験であっても、その人のやる気、熱意をみている気がします。カジュアルに自分のやりたいこと、なんでここで働きたいか、自分のストーリーを伝え、もし面接が通ったら、7日間くらいトライアル期間があって、採用が不採用か決定します。

日本のカフェでの面接は、質問に答える一般的な面接スタイルで、技術チェックは特になく、そこのカフェのやり方を教えて貰いながら、フォローして働く。海外と違い、日本はきちんとした教育システムがあるので、いかにそのカフェのやり方に馴染めるかが大切です。

日本のコーヒー文化は、昔からあるお茶や喫茶店文化、コンビニや自動販売機が普及していることで、海外とは大幅に違います。コーヒーの輸送費や土地代もあるかと思いますが、一杯あたりのコーヒーも高く、カフェで出るコーヒーの杯数も圧倒的に少ない印象です。混み合う時間帯も朝ではなく、昼から夕方にかけてゆっくりとコンスタント。日本では、プレミアムコーヒーやコモディティコーヒーが多く出回っていて、スペシャルティが主流ではないので、コーヒーが苦手という人や、コーヒーやカフェインが身体にあまり良くないと思っている人も多い印象です。コーヒーと同じぐらい紅茶も人気ですね。

カナダは、移民が多く、いろんな人種の方がいます。教育の水準も高く、アメリカに比べると学費が安く、世界各国から学生が集まっています。実際カフェで一緒に働いていたスタッフも様々な国の人がいて、他人種への理解や気遣いがある人が多いですね。アジア人にも優しく接してくれますし、国の違う者同士で働くことは、とても勉強になります。

1回目のコラムは、カナダのカフェ文化について書きました。次回は、バリスタになって、2カ国目のオーストラリアのカフェカルチャーについてお届け致します。オーストラリア・メルボルンは、世界でも有名なコーヒーの街。カナダとは全く異なったカフェカルチャーです!そちらもぜひお楽しみに!

Bayuk Instagramでは、Coffee Timeに聴けるプレイリストと、斎藤さやかさんのおすすめするバンクーバーのコーヒーショップを後日更新いたします!

Text & Photo : Sayaka Saito
Text & Edit : Sonoka Takahashi

Bayuk Instagramでは、今回の記事に掲載出来ていない情報なども随時更新していきます。

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