2022-03-18

” Please Mr. Postman ” 久保祐加  

“Please Mr.Postman” By Yuka Kubo

春は、ふきのとう、たらの芽などの山菜がたくさん大地から出始める季節です。 日本の昔からの食養生にも『春の皿には苦味を盛れ』ということわざがあり、 冬眠を終えた熊が、眠っていた体を春の体へと目覚めるさせために、まず「ふきのとう」を食べるそうです。

自然界の苦味は、体内の経路をお掃除してくれ、冬の身体から春の身体へと巡らせてくれます。 

そして、4月からは紫外線がピークに向かっていく季節。

日中、庭しごとをしていたら、肌がすこし火照り、春の太陽の熱がだんだん強くなってきているのを感じています。

強い日差しとコンクリートの照り返しにあたると、顔がチクチクするような感覚があり、ヒリヒリとするので、春から夏にかけて、アロエベラがかかせなくなります。紫外線による光老化から守ってくれ、吸熱して炎症を抑え、肌を修復し再生してくれる、アフターサンケアに使うと肌がぐんと落ち着きます。

アーユルヴェーダでも、アロエベラは重要なハーブのひとつ。詰まっているものを出してくれる働きや血液浄化、生理不順に良いなど、色々な効能があるといわれているので興味を持ち、アロエベラを自宅で育てています。アロエは栽培が簡単。

そこで、アロエベラの葉を剪定がてら、紫外線ケアにアロエベラオイルを作りました。弱火でゆっくりじっくり煮詰めて、エキスを抽出して薬効をオイルに閉じ込めていく、なかなかの作業なのですが、楽しい時間。

アロエベラは冬の間は休眠していているからか、今回の出来上がりは色が少しダーク。夏の太陽の陽をいっぱいに受け、旬を迎える頃に、汗だくになりながら作るアロエベラオイルは、もう少し色がクリアです。

アロエベラオイルはスキンケアのほか、アーユルヴェーダを代表とするオイルトリートメント・アビヤンガ、乾燥を減らし抜け毛予防にも良いので、頭皮マッサージにも使います。

去年、アシナガバチと謎の虫ハネカクシに刺されて大変なことになったのですが、この時はとくにアロエベラの痛みを和らげ鎮静する力、熱を外に出す力、保湿力、本当にすごいと身を持って感じました。

この、庭しごとというのは、「サフランの花」がきっかけで、インスタグラムで出会ったサエコさんが誘ってくれたことから今の庭活動があります。閉校となった旧池尻中学校舎を再生活用した施設の世田谷ものづくり学校のお庭・『巡る庭』です。

この『巡る庭』を管理をされているキュレーターの石田紀佳さんのもと、お手伝いをボランティアでしています。紀佳さんに色んなことを教えて頂きながらする庭しごとは面白く、とても心も豊かになります。

木の剪定、草刈り、植物の種や苗を植えたり、水やり、場を整える。桜・梅・あんず・松・センダン・楠など沢山の大きな木々や果実やハーブ、伸び放題の茂み、小さな畑。 

気候も良く春の太陽が温かいく気持ちがいい庭しごとのお手伝い。水やりを一通りした後に、コンポストの中で熟成された堆肥を畑に蒔いていきます。何気にこの作業、私は初めて。

コンポストの中を恐る恐る覗きながら、中の堆肥をシャベルで掘り出していくと、上の方の比較的新しい生ゴミの堆肥は、古漬けの糠床のようなかなりの酸っぱい酸っぱい香り。どんどん掘り進めていくと、幼虫の大群が、、アメリカミズアブだそうです。うわぁぁ!若干引いていたら紀佳さんが、アメリカミズアブは、生ゴミの分解を進めてくれる大切な救世主だということを教えてくれました。思わず写真を撮りましたが、かなりのグロさなのでお見せできません(笑)。下の方の古く発酵された生ゴミは、なんともなんとも、、な臭さ、、洋服についたら1日中この匂いが消えなさそうな強烈な臭いで、自然と口呼吸になってしまう。微生物の力、発酵の力はすごいです。

堆肥は畑に蒔き、卵の殻と落ち葉をかぶせていきます。コンポストで熟成された栄養豊富な堆肥は、緩効性があり土の中にゆっくりゆっくり養分が入っていき、卵の殻を入れることで土がフカフカになるんだそうです。コンポストの中の堆肥は、上下の新旧で匂いの違いにも興味深かったし、生ゴミを自然に還すこと、捨てるものってあまりなくて全て循環していけるんだなあと、腰痛になりそうなちょっと大変な作業でしたが、循環について考えさせられるとても貴重な時間でした。

来年にはとてもいい土になってるそうで見て触ってみたいなと思うのですが、残念ながら今年の5月いっぱいで、お庭があるこの場所はいったん閉館となります。閉館後は世田谷区主導のもと検討されていくとのことですが、この緑がずっとこのままでいてくれたらと思います。私たちの活動も新しい場へと移るので、そちらも楽しみです。

庭しごとが終わり休憩していたら、庭仲間のナミさんが藤編みリングを教えてくれてみんなで藤編みでわいわい盛り上がる。強烈な香りの仕事をしたご褒美のようでした。

アーユルヴェーダで私たちは自然の流れと密接であることを学んでから、自然界との関わりや季節・植物に、より興味を持ち始めたこともこの『巡る庭』を通して改めて気づきました。定期的に自然界、植物や木や土や微生物に触れられ、都内で植物と仲良くできる、季節を五感で感じられる、私にとって、とても大切な時間になっています。

Column & Photo : Yuka Kubo
Title & Text & Edit : Sonoka Takahashi

後日、久保祐加さんのおすすめの本もご紹介致します。

久保祐加さんには今後も不定期連載として参加していただけることになりました。

サロン併設を計画中の久保さんのIGでは、

より詳しいアーユルヴェーダの情報を知れるかと思いますので、

そちらも併せてチェックしてくださいね。

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