
渋谷区神宮前・TWIGGY.で美容師として活躍している成澤雪江さん。空間と光が支配する旋律美しく繊細で中毒性のあるサウンドを好んでライブ活動を楽しむ姿がいつも印象的。
音楽を好きになったきっかけは 、海外のMusic Videoがそう簡単に観ることが出来なかった小学生の頃。たまたまMTVで観た 『Thriller』と『Smooth Criminal』のMV。永遠に唯一無二のアーティスト・マイケルジャクソン。
「幼少期は、テレビで流れてくる音楽が全てだった。」という成澤さん。音楽番組もたくさんあった90年代。はじめて買ったCDは、平成の熱気漂うJ-POPシーンから、1996年発売のSPEEDの『Body & Soul』
美容師という職業ならではの、クリエイティビティを引き出すアートと旅のはなし、好みの音楽がどのように枝分けれしていったのか紐解く、成澤さんの音楽遍歴。

年齢で広がってきた音楽

吹奏楽をやっていたのでクラシックは身近な存在。友人と双子の片割れに誘われてはじめた趣味のダンスをする時に流していたR&Bやポップスが加わり、高校生活では軽音部の影響でRockに興味を持ちはじめました。
Lauryn Hill, Destiny’s Child, Britney Spears, Backstreet Boys
Oasis , Radiohead , Limp Bizkit

フェスデビューをし、音楽を浴びる楽しさを覚えた20代。音楽好きの友達のおかげで エレクトロやアンビエント、オルタナティブを知りました。HMV や Tower Recordsでスタッフさんが描いたPOPを読んでは試聴、の繰り返し。試聴機の取り合いでしたね。
Aphex Twin , Sigur Ros , Antony & The Jonsons

30代になって、自分の中で圧倒的なアーティスト、永遠の推しが見つかります。それが、James Blake 。肉体に響く重低音と脳内に突き刺さる高音の振り幅がとても気持ちいい。そこに彼の声が加わり、唯一無二の空間が存在する。そして、それぞれの世界観を持つ以下のアーティスト達も私にとって特別なものになりました。
FKJ , Jacob Collier , Go Go Penguin , HONNE , Bonobo , Bon Iver , Overmono , yahyel
世の中が閉鎖的に、気持ちも塞ぎ込みがちになったコロナ禍。FKJ によるウユニ塩湖でのパフォーマンスライブは、精神的な支えとなり、YouTubeで何度も何度も繰り返し観たのを覚えています。

90年代を代表とする、青春の記憶蘇るアーティストが続々と来日しはじめました。現役でやってくれてありがとう。そして、再結成してくれてありがとう。音楽が好きでよかった!と心から思います。
Janet Jackson , TLC , OASIS


今も昔も好きなアルバム・圧倒的空間美学5選
Takk… / Sigur Ros (2005)
初めて観た海外フェスの映像。その映像の中でSigur Rosが演奏をしていて、原っぱに寝そべりリラックスしながら聴いている観客たち。何て気持ちのいい空間なんだろうと思ったのを覚えています。
そして、2022年に彼らのライブに初めて行きました。自然と涙が溢れ、幸せな気持ちで満たされていきました。彼らのもつ浄化や神秘性は、永遠ですね。
James Blake / James Blake (2011)
YouTubeで彼らの演奏を観たその時から、虜になっていました。今でも演奏されるこのアルバムの曲たちは空間を一瞬で支配します。中毒性の塊。空間と余白の芸術、ここにありといった感じです。
Flesh and Blood / yahyel (2016)
日本人で唯一、推しているバンド・yahyel のデビューアルバム。この世界観を持ち合わせていながら、ライブではめちゃくちゃ人間味を感じる彼らには、興味しかわかない。今年10周年でしたが、メンバーの篠田さんが永眠されました。いまだに信じられません、、デビューしてくれて、ありがとうと伝えたいです。

French Kiwi Juice / FKJ (2017)
Masegoとのセッション映像やウユニ塩湖でのパフォーマンス映像は何度観ても飽きません。即興演奏にしてこの心地良さは、もはやずるすぎる。笑
Boiler Room: Overmono in Manchester, Nov 21, 2023 (Live) / Overmono
UKのクラブにいるような没入感があって、彼らの本領発揮が味わえます。セットリストが最高にかっこいい。


ファッションに影響されたアーティスト
Sex Pistols の Sid Vicious
彼がラバーソールにキスしている写真を見て、衝撃が走りました。その後、親に頼み、ラバーソールを買いに行きました。革靴を好きになったのもこの時から。今でも1年中、革靴生活です。

好きなMV
Take Me To Church / Hozier (2015)
Sergei Polunin が引退する覚悟で出演したMV。全身全霊の踊りからは、涙が溢れ、胸を掴まれる思いでした。その後、『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』が公開され観に行ったのを覚えています。繊細な美しさと狂気の中の葛藤が印象的でした。

忘れられない思い出のライブ
James Blakeの2017年東京国際フォーラムでの公演。『I Never Learnt to Share』の美しさからの想像をはるかに超える破壊力は最高すぎました。『Measurements』は何層もの音を重ね、知らぬ間に彼はステージから離れていました。音だけを残し、前席にいたお客さまだけがその姿を目視でき、前席からの拍手のグラデーションがはじまりました。そこまでも演出だったのか、、と。余韻が美しすぎて、好きが確定した瞬間でした。

今までにこれ以上ないほど楽しんだライブ
2019年、Berghain で開催された自社レーベル Ostgut Ton のスペシャルパーティー『Ostgut Ton Nacht』
8月10日の深夜23:59からスタートし、12日の朝までノンストップで続くショーケース。世界最高峰のテクノクラブであり、バウンサーによって入場選抜が行われる場所。無事に入れるかドキドキでしたが、ベルリンに住む友達にお願いし、連れて行ってもらいました。荷物検査では、写真撮影NGのためにスマホのカメラレンズにシールを貼られ、目薬さえも安全であるかチェックされるという厳重ぶり。そんな中通過でき、入った空間はまるでSFの世界。唯一無二の空間が広がっていました。最高な音に包まれながら、踊り狂った経験は宝物です。

これからライブで観たいアーティスト
Chilly Gonzales
2018年に公開された『黙ってピアノを弾いてくれ』を観て、狂気的な美しさにどっぷりハマりました。その後、YouTube で公開されてる『Montreux Jazz Festival 2017 / Chilly Gonzales – Knight Moves』に胸が熱くなり、耳コピが出来る知り合いに協力してもらいながら、この曲を必死で譜面におこし、練習したのを覚えています。人生の中で1番、音粒を追った期間。1度は生で観たいですね。
ライブを予定しているアーティスト
James Blake と FKJ 。贅沢にも12月の同じ週にやるので、心臓がもつかどうか。笑

好きなアートワーク
Með suð í eyrum við spilum endalaust / Sigur Ros (2008)
アメリカの写真家 Ryan McGinley の作品がジャケットに起用されました。曲も写真も、緊張感の中から広がっていく解放感が気持ちいい。これ以上の親和性がどこにあるのか、とアーティストがアーティストをリスペクトする瞬間に触れた気がします。その数年後、東京オペラシティで開催された『ライアン・マッギンレー BODY LOUD! 』に行ったのを覚えています。
クリエイションの面で欠かせないインプット
今では、美術館に行くことがなくてはならないルーティン。そこで、自問自答をしたり、答え合わせをしたりしています。新たな展示方法や組み合わせを見て、表現の幅や可能性を知ることもあります。
アートを目的としたヒューストンの旅
行く前も行った後も、未知の領域・ヒューストン。特にダウンタウンは、映画のセットに放り込まれたかのようでした。整えられたビルに、ゴミ1つ落ちていない綺麗な街。広く用意された歩道に誰も歩いていない光景は、違和感さえ覚えました。

目的は、ロスコ チャペルとメニル コレクションとヒューストン美術館。こんなにもアートが大切にそして、優雅に存在しているとは思いませんでした。特にロスコチャペルにあるマーク・ロスコは圧巻でした。自然光が入る彼の絵は、贅沢の極み。

そして、ジョンソン宇宙センターもあり、、帰国後、謎が深すぎて、ヒューストンとテキサス州を調べ尽くしました。アートとエネルギー産業と宇宙、世界最大級の規模を誇る医療センター。
この州は宇宙に飛び立つ準備をしているのではないかと疑ってしまうくらい。いやはや、静かなる底力を感じます。

最近のグッと心にきた展覧会
韓国の原州にあるMuseum SAN
山の上にある安藤忠雄建築の美術館。『SAN』とは【Space・Art・Nature】の頭文字をとったもので、まさにその言葉のままの空間が広がっていました。その中でも、予約をして鑑賞する展示空間 『GROUD』 と 『James Turrell』 は、最高すぎました。ガイドのスタッフさんの丁寧な説明、少人数制ならではの穏やかな鑑賞時間、作品を通じて、脳が解放される感覚は特別な体験でした。

これから行きたい場所
2030年にサウジアラビアへ行くことを目標にしています。2029年にジェームス・タレルの新作の完成予定とドラゴンボールのテーマパークも開業予定。さらには、2030年にリヤド万博開催。現状いろんな問題が浮上していますが、石油依存から脱却するための都市計画『THE LINE』も気になります。
あなたを形成した場所
都営のアパートで育ったのですが、そこは1つの村のような環境でした。保育園があり、児童館があり、公園があり、習字の先生もいました。友達が下の階に住んでいたので、学校がある日は毎日階段を駆け降り、友達を迎えに行ってました。いかに早く降りるか、双子の片割れと競争してましたね。これを小学1年生から9年間続けていたので、私の体力はその時に鍛えられたんだなと思ってます。
忘れられない思い出の味
人生の中で1番厳しかった、地元の和菓子屋さんで初めてのアルバイト。仕事が終わると必ずご褒美のお菓子をいただける。そこで食べた干し柿があまりにも美味しく、感動したことを覚えています。まさに、飴と鞭。

心に残っている言葉やメッセージ
校則がなく、髪型も洋服も自由。高校の入学式の時に先生が「自由な格好をしていいけど、やることはしっかりやらないと格好悪いからな。」というお話をしてくださいました。本当の自由とは何かを教えてもらったような気がします。今でも私にとって大切な言葉の1つです。
動物・生物との思い出
小学校の授業の一環で【蚕を育てて、糸を引き出す】という経験をしました。学校の隣の公園が、蚕糸試験場の跡地なので、有無も言わさず全員でやることに。正直はじめは戸惑いましたが、蚕のにおいの記憶、桑の葉の調達、繭を熱湯に入れながら作業をしたこと、この全てが貴重な体験となっています。今でも、シルクのものに触れると思い出します。
ファッションシーンから平成を振り返る
それぞれの主張や好きが、ファッションから伝わってきていたし、私もそこに命を燃やしていました。【生き様=ファッション】のエネルギーが強かったなと思います。SNS が普及してませんでしたから、雑誌『Zipper』『CUTiE』『FRUiTS』が教科書。そして、明治神宮前交差点にあった GAP 前は、人間観察の最大観測スポットだったのではないかと思っています。

双子
普段過ごしていて、離れていても、常に繋がっている安心感はあります。感情の起伏が同じなので、手に取るように分かりやすいです。
いつかの冬、偶然にも同じ手袋を使っていました。その手袋は1度無くしたことがあり、もう1度同じ手袋を買いなおしたと話してくれました。実は、私も同じ経緯をたどっていて、さすがにお互い笑ってしまいました。同じ遺伝子ですから、探せばもっと知らない間に同じことをしているかもしれません。
昔の好きなテレビドラマ
とにかくお洒落でキャストもドストライクな『私立探偵 濱マイク』
毎話異なる監督で、オープニングもそれぞれの監督によって、少しずつ違っていました。映像の質感もカッコよく、そこに EGO-WRAPPINの『くちばしにチェリー』が流れ、最高な組み合わせでしたね。

Edit&Artwork: Bayuk_Zine






