2024-10-11

My Ground : 乗馬 / 竹中寿里

アートディレクター・デザイナー:竹中寿里

福岡出身。武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒。広告制作プロダクション、インハウスデザイナーを経て、TAKUSAN-DESIGNを設立。2017年に株式会社タクサンデザイン設立。代表取締役。

Instagram : @juritick / @takusan_d

幼少期から絵を描くことが大好きで、イラストレーターや漫画家になりたいと思っていたという竹中寿里さん。伝えたいことを言語化し、ビジュアル化することが好きでアートディレクションやデザインの道へ。多くの化粧品会社のクライアントを抱える。自身で設立した会社の代表でもある竹中さんが、趣味で乗馬を始めたのは2019年のこと。動物が好きだという竹中さんの、乗馬のおはなしから、西表島でのおはなし、毎日行っているという呼吸法のおはなし、をお聞きしました。

実家では昔からたくさんの犬や猫を飼っていたり、小さな頃から動物に囲まれて生活していた竹中さん。乗馬を始めたきっかけはというと、

「数年前にイタリアン・グレイハウンドの愛犬が亡くし、それ以来ペットロスがひどくて、いまだに生き物を迎えられていないほど。もともと馬のようなシュっとした流線型の動物にものすごく惹かれていました。ある時、ふと何気なく乗馬を調べてみたら、月額でリーズナブルな通いやすい乗馬クラブを見つけ、大手の乗馬クラブに体験しに行ってみました。それがものすごく楽しくて、すぐに乗馬に必要な物を揃え、入会しました。

でも、クラブの乗馬に対する考え方と私の考え方が違ったため、そのクラブは残念ながらやめてしまいました。乗馬クラブの多くの馬は、乗馬のために調教し直された元競走馬です。休憩が短ければ、夕方になると集中力が切れ、ストレスを解放されていない馬は、急に動き出したり暴れることもあるので、身体の大きなサラブレッドに乗る恐怖心も生まれてしまいました。」

そこから、馬について色々と調べるようになり、日本における馬の現状を目の当たりにしたそう。ドキュメンタリー映画『今日もどこかで馬が生まれる』(2019年公開)

『今日もどこかで馬が生まれる』
ポスター画像 (C)Creem pan
(アマゾンプライムにて配信中)

「日本では馬は経済動物であり、競走馬として年間約8000頭もが生産されています。その中で、中央競馬や地方競馬で活躍できる馬は一握り。では、そこに入れなかった馬や引退したその後は。この映画は、生産者側や調教師、馬主、屠畜場で働く人など、競走馬や引退馬、養老馬、そのまわりにいるそれぞれの視点で描かれています。馬糞を肥料として野菜を育てている方や放牧しながら、野生の馬のように余生を過ごせる牧場を経営されている方など、最近ではそのような活動をされている方も多くいらっしゃいます。私も将来的に何ができるのかとずっと考えています。

乗馬をしていることを母に話したら、祖父が地方競馬の馬主だったことを教えてくれました。うろ覚えだったのですが、確かに父の実家には馬房がありました。農業を営んでいた祖父は、競馬で活躍できなくなった馬の面倒を最期まで見ていたそうです。祖父が生きていたら、どうして4頭の馬主になったのか、馬の話をしてみたかったです。」

その後、乗馬を続けるために別の乗馬クラブへ。そこでの先生との出会い。

「『馬に乗ることで何かの支えになったらいい』と単発で通える別のクラブに行ってみました。その乗馬クラブは、先生の教え方がとても良かったんです。オリンピックのメダリストが出ていたり、競技会に出ている方も多く、自馬を持っている方がほとんどでした。金額も高めで、レッスンは生徒2人かマンツーマン。先生も手綱を持っていないので、少し不安を感じていたら、『動いて欲しいって本気で思ってみて!』と。

『前へ動いて欲しい!前へ動いて欲しい!前へ動いて欲しい!』

そう強く思ってサインを出したら、動いてくれました。『馬は、こうやってコミュニケーションを取れば、動いてくれるの!』と。それを体感できた瞬間でした。サインをうまく読み取って動いてくれたり、顔を擦り寄せて身体を預けてくれるのが嬉しくて、とても可愛いんです。木陰に近づくと、その陰で休みたいという私の気持ちを察し、止まってふーっと一緒に一息つく感じも楽しい。それでうまく乗れた時には、最高な気分になります。『人馬一体』とよくいうけれど、その通じ合う感覚は馬でないと味わえないことなんですよね。いい乗馬クラブや先生に出会えたら、乗馬は心身共にとてもいいと思います。」

乗馬クラブには、小学生のお子さんから60代・70代・80代の方も多く、年齢の幅も広いよう。

「乗馬クラブでは大きなサラブレットに子供が上手に乗っている光景をよく目にします。500キロ近い馬の身体に自分の命を預けているわけなので、初めて馬に乗る大人はどうしても、落馬の心配や急に走り出したらどうしようという恐怖心や雑念が、足や手綱から、馬が敏感に感じ取ってしまうことがありますが、子供は素直に馬にサインを出すので、コミュニケーションの取り方が上手いようです。

シニアの方は、みなさん体型がスマートで、体幹があってピンとした背筋で歩いている方がほとんどです。素早い反射神経が大事で、脳の活性化にもなると思うので、私も年齢を重ねても続けていきたいです。」

コロナ禍で移動も難しくなり、様々なことを考慮し3つ目の乗馬クラブへ。『馬の乗り方』でなく『馬とのコミュニケーションの取り方』を教えてくれる、良い先生に出会うことが出来た。
馬はとても賢く、人をよく見ているため、最初の挨拶の仕方が肝心。佇まい、歩き方まで気を付ける。

湿度の高い時期になると、動物の血を餌にするサシバエが大量に発生しやすく、馬は痛みと痒さで強いストレスを抱えるために、意思疎通がなかなか難しくなることも。

「以前会津磐梯に行った時に、偶然オニヤンマの孵化に立ち会うことができました。その様子をSNSに投稿したら、『乗馬クラブの救世主ですね。』とコメントをして頂いたことがありました。聞くところによると、サシバエは天敵であるオニヤンマを嫌い、綺麗な水場にしかいないオニヤンマが生息する場所は、害虫がいない証拠とされているようです。このような、自然界のあれこれを知ることが出来たのも、乗馬のおかげです。」

先日、お世話になっている方が西表島にゲストハウスをオープンされたとのことで、西表島へ。石垣島からフェリーを乗り継いで、大きな虹が迎えてくれた旅のスタート。

「手付かずの自然が多く、イリオモテヤマネコなどの固有種がたくさんいる西表島では、そこにしかいない生き物を見ることができるかも、と楽しみでした。ゲストハウスの方に紹介していただいたガイドさんのナイトツアーに参加しました。」

星浜でシュノーケリング:カクレクマノミ
コクテンフグ
ツノダシ

リュウキュウアカショウヒン
/ 写真:ガイド 堀井大輝
単為生殖である生後1ヶ月のヤエヤマサソリ
(甲殻類はブラックライトで探す)
/ 写真:ガイド 堀井大輝
ヤエヤマアオガエル:カエルはハブの餌なので、
ハブが近くにいる可能性が高いそう。
/ 写真:ガイド 堀井大輝
サキシマキノボリトカゲ
/ 写真:ガイド 堀井大輝
ヤエヤマツダナナフシ
/ 写真:ガイド 堀井大輝

竹中さんの旅のマイルールは、【一日だけ必ず一人の時間を作ること】家族も友人もわかってくれているから旅の中盤は、一人時間をとことん楽しむ。

「これはどこに行っても、誰といても徹底しています。好きな時間に起きて、一人で気ままに過ごす一日。普段はホテルの部屋に篭りっきりなのですが、今回はゲストハウスがビーチの目の前だったので、外に出て誰もいない浜辺でぼーっとしたり、ゴロゴロしながらスマホを見たり、散歩をしたり。海にぷかぷかと浮いているだけで、とても気持ちが良かった。泳ぐことが得意でない私にとって、西表島は難易度が高い場所だと思っていましたが、ゲストハウスのすぐ裏が海であったことが大きく、とても楽しむことが出来ました。」

スイミングやヨガ上級者である旦那様と一緒に、毎朝のヨガ。

帰りの石垣島空港近くで、SNSで見つけた『シッサスの根』を見ることが出来、満足して旅が終了。

クライアントとの打ち合わせが多い竹中さんは、長時間座っていても安心な厚手のオーガニックナプキンが好み。日中でも夜用のナプキンを使用し、経血が少ない日には布ナプキンに変えるそう。竹中さんの『生理 のおはなし』・女性の天敵・冷え対策。

「生理痛が重いので、月に一度鍼灸に通っています。先生から『子宮には冷えが良くない』と聞き、家でも足首の近くに集中する婦人科系のツボにお灸をしています。毎日続けていくうちに生理痛も改善してきました。エアコンの下では身体が冷えるので、家では必ず靴下履いています。」

筋肉緩めてリラックスするアルニカ、炎症鎮静の効果のあるカレンデュラ

「そのほかの冷え対策としては、お風呂に入る時にはエプソムソルトを入れています。香り高く、アトピーの方でも使いやすいハイランドレメディーズのエプソムソルト。バイオダイナミック農法で薬草栽培をする様子を見学しに、先日オープンガーデンへお邪魔させて頂き、直接お話を聞くことが出来ました。堆肥や化学薬品を使わないので、害虫がいないこと。周囲に農地がないために土壌の影響を受けにくいこと。長野県菅平高原は湿度が低く、標高も1400mと高いこともあり、これらの薬草を育てる環境にとても適しているようです。手間暇が掛かっていて、とても誠実に作られている様子を見ることが出来て、とても良かったです。また来年も行きたいと思っています。」

カレンデュラバーム:カレンデュラの黄色に、ヤロウのアズレンを加えると、青になる。自然の色。
婦人科系、整腸と抗炎症効果のあるザクロペースト。1瓶に10個分のザクロが入っている。
整腸のために飲んでいる甘酒は、血糖値を急激にあげすぎないように玄米で。お湯や水で割って、朝に飲むのがおすすめ。

会社員時代は自宅に帰れないことも多く、超多忙な生活を送っていたという。そのような生活を送っている中で、持病の潰瘍性大腸炎が悪化してしまい、仕事と生活のバランスを取りながら治療するため、独立をする。以前のストイックになりすぎていた食事法もやめて、大好きな甘いものも我慢しなくなった。できる範囲で腸に良いことを生活に取り入れる、その一つである、呼吸法。

呼吸の仕方を導いてくれる音源をスマホにダウンロード。

「腸に良いこととして、呼吸法を毎日行なっています。谷川俊太郎さんがおすすめしていた『呼吸の本』(著者:加藤俊朗)。瞑想ではなく呼吸法なので、音声を流しながら無駄なことを考えず、自分にとても合っています。腸は第二の脳と言われていて、怒りや我慢を溜めやすく、ストレスを抱えやすい。それによって肝臓が硬くなりやすいそうです。私も肝臓の硬さを鍼の先生から指摘されていました。『呼吸の本』の中でもよく『考えがふわっと上がってきても放り出しなさい。』と繰り返し出てくるのですが、ストレスを抱えすぎないことを意識的に続けてみました。ふわっと上がってきても放り出す、考えを捨てる、何か嫌なことがあっても『まあ、いいか。』とそれ以上考えすぎない。次第に、右上腹部を自分で触ってもわかる程に柔らかくなり、鍼の先生からも肝臓が緩んでいると言ってもらえました。毎日の習慣となった呼吸法は、心も身体にもとてもいい循環になっています。」

インタビュイー・写真:竹中寿里
インタビュアー・文・編集・アートワーク:高橋苑果

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